幼児の歯並びについて、「永久歯になると自然に治るのではないか」という質問もしばしば受けます。しかし、治る可能性は非常に低いものであると言えます。子どもの反対咬合(受け口)を例にあげてご説明します。まずもって血縁関係の方に、同じような反対咬合の人がいるかどうかが大切になってきます。もし該当するとしたら、そう簡単な反対咬合ではない可能性が出てきます。ここで言う「簡単な反対咬合」というのは、上下の歯の傾斜とか生え方が異常な為のもの。つまり、原因が「歯」そのものにある場合です。これに対して「簡単でない反対咬合」というのは、原因があごの異常な成長の仕方、つまり「骨格」に異常がある場合です。これは、主に下あごの成長が普通よりも旺盛な場合で、遺伝的傾向が強いようです。下あごが三日月のように突き出て面長の顔つきになったり、子どもでも下唇が突き出て怒ったような顔つきになったりします。 原因がいずれの場合であるにせよ、下あごの成長をコントロールする器具である沈キャップによる治療は有効だと言えます。 このような治療内容は歯科用レセコンに記入していきます。また、治療内容だけでなく歯科用レセコンには原因も記入するようです。先ほど取り上げた沈キャプは5歳以上であれば自分でも使えるようになります。ただ、ここで1つ問題があります。反対咬合のうち、骨格性(下顎前突)のものの場合です。一旦反対咬合を治したように見えても、10歳を過ぎる頃或いはもっと後になって再び反対咬合になるという事があるのです。しかし、これは正確に言うと病気の再発ではなく、その頃一生で一番下あごの成長が旺盛になる事に起因しています。このような骨格性の下顎前突か、単なる歯に原因のある反対咬合か。その判断には、顔のレントゲン撮影を行い、分析をする必要があります。治療を開始する前に、最小限この程度の検査は受ける必要があるのです。
自然に治る可能性はある?
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