高齢者に睡眠薬を使用する場合の注意点

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高齢者の眠りに関する悩みや訴えは非常に多く、特に不眠に関する訴えは一番多いとされています。不眠の原因は様々で、睡眠薬を処方する前に原因の特定が必要と言えるでしょう。これは、加齢とともに睡眠時間は短くなり(平均6時間以下)、熟眠感を得られる徐波睡眠の時聞が短くなるという生理的変化が起こるためでしょう。不眠によって日常生活にどの程度支障をきたしているか、睡眠困難などのような頻度でいつ起きるかなど、慎重な問診をした上で、睡眠薬の服用を決めることが必要なのではないでしょうか。なぜなら、睡眠薬は持ち越し効果、筋弛緩作用、運動失調、前向健忘などの副作用が頻繁に起きると考えられているからです。これらの薬害有害出現について患者家族に説明することも必要でしょう。また、睡眠時無呼吸症候群のように睡眠薬の投与だけでは改善しない疾患もあり、詳しい問診だけでなく血液検査なども必要となってくるでしょう。

厚生労働省による「健康づくりのための睡眠指針2014」によると、 睡眠薬は高齢者の睡眠の質を改善させ,睡眠時間を平均25 分延長させ,夜間覚醒回数を 0.6 3回減らすことが報告されています。しかし、認知機能の低下が4.8 倍になるとの報告もあり、睡眠薬の使用には慎重な管理が必要とされているようです。

医師を目指している人や、医療関係でアルバイトをしたいという人で、もし身近にこういった高齢者がいる場合、家族や本人の症状を観察し、できるだけコミュニケーションをとるようにすると良いでしょう。こういった経験が、のちのち医師として大きな意味を持つものとなるかもしれません。